衛生管理者試験に合格すると、合格通知書が届きます。ここで安心してしまう方がいるのですが、実はまだ終わっていません。
合格しただけでは、免許証は交付されません。自分で免許申請の手続きをする必要があります。そして免許証がないと、会社で衛生管理者として選任してもらえません。
この手続き、調べていて気になったことがあります。申請先について、ネット上の情報が食い違っているんです。「住所地を管轄する都道府県労働局へ」と書いているサイトと、「東京労働局免許証発行センターへ」と書いているサイトの両方があります。
送り先を間違えると手続きが遅れるので、これは困ります。
そこでこの記事では、試験を実施している協会と東京労働局の公式情報にあたって、正確な手順を整理しました。あわせて、公式の案内には書いてあるのに解説記事ではあまり触れられていない注意点もまとめています。収入印紙の扱いなど、知らないと申請できなくなるものもあります。
この記事は2026年8月時点で、安全衛生技術試験協会および東京労働局の公表情報を確認して書いています。手数料や郵便料金、様式は変更されることがあります。申請前には必ず厚生労働省の「免許試験合格者のための免許申請書手続の手引き」と、東京労働局のよくある質問で最新情報をご確認ください。
結論。申請先は東京労働局免許証発行センター
先に答えを書きます。
衛生管理者試験に合格して「免許試験合格通知書」を受け取った方の申請先は、東京労働局免許証発行センターです。住んでいる場所は関係ありません。全国どこに住んでいても、ここに送ります。
協会の公式ページにも、合格通知書を受け取ったら必要書類を添えて東京労働局免許証発行センターに免許申請をするように、と書かれています。
郵送で完結するので、どこかに出向く必要はありません。
なぜ「住所地の労働局へ」と書いてあるサイトがあるのか
調べていて理由が分かりました。協会の案内には、実は2つのケースが並んで書かれているんです。
| どんな場合か | 申請先 |
|---|---|
| 免許試験に合格して「合格通知書」を受け取った(衛生管理者はこちら) | 東京労働局免許証発行センター |
| クレーン・デリック運転士などで学科試験に合格し、その後に実技教習を修了した | 住所地を管轄する都道府県労働局長 |
この2つを混同すると「住所地の労働局へ」という説明になります。衛生管理者に実技試験はないので、該当するのは上の行です。
なお、免許証を紛失して再交付を受ける場合や、氏名が変わって書き替える場合は、また扱いが変わります。今回は新しく免許を取る場合の話に絞ります。
申請に必要なもの
そろえるものは次のとおりです。
| 必要なもの | ポイント |
|---|---|
| 免許申請書 | 労働局・労働基準監督署・安全衛生技術センターで入手。厚生労働省のサイトから印刷も可 |
| 免許試験合格通知書 | 試験後に届くハガキ |
| 収入印紙 合計1,500円 | 郵便局などで購入。貼り方に注意(後述) |
| 免許証用の写真1枚 | タテ3.0cm×ヨコ2.4cm |
| 本人確認証明書の写し | 写真付きなら1点、写真がないものなら2点 |
| 免許証を送るための切手 | 金額は最新の案内で確認(後述) |
| 提出用の封筒 | 指定の封筒が望ましい。任意の封筒でも可 |
ひとつずつ補足します。
免許申請書と手引きの入手
免許申請書と、その記入要領である手引きは、全国の労働局、労働基準監督署、安全衛生技術センターで手に入ります。厚生労働省のホームページから印刷して使うこともできます。
試験会場でも配布されているので、試験当日にもらっておくと楽です。合格通知書には同封されないので、自分で用意する必要があります。
古い様式でも多くの場合は使えますが、項目が見直されることがあるため、確認の連絡が入ることがあります。できるだけ最新の様式を使ってください。
写真は、スマホ撮影でも条件を満たせば使える
写真のサイズは、タテ3.0センチ、ヨコ2.4センチです。運転免許証と同じくらいの大きさですね。
ここで知っておくと得な情報があります。東京労働局のよくある質問に、写真の作り方について具体的な回答が載っています。
スマートフォンで撮影して家庭用プリンターで印刷した写真も、条件を満たしていれば使えるとされています。ただし、不鮮明なものや画像処理されたものは受理されません。
一方で、カラーコピーした写真は使えません。写真専用紙以外に印刷されることが多く、不鮮明になるためです。
要するに、写真専用紙にきれいに印刷できるならスマホでもいい、ということです。自信がなければ証明写真機を使うのが確実でしょう。
本人確認証明書は「写真の有無」で枚数が変わる
本人確認証明書は、住所・氏名・生年月日が確認できるものを添付します。
ここに条件があります。写真付きのものなら1点、写真がないものなら2点必要です。運転免許証やマイナンバーカードのような写真付きなら1枚で済みますが、住民票や保険証のように写真がないものだと2種類そろえることになります。
具体的に何が使えるかは、厚生労働省の手引きに「本人確認証明書の具体例」として載っています。申請前に確認してください。
免許証を送ってもらう切手も必要
見落としやすいのがこれです。免許証は郵送で届くので、その送料を自分で負担します。
東京労働局のよくある質問では、郵便料金の改定にともなって460円分の切手が必要になったと案内されています。ただ郵便料金は変わることがあるので、申請前に最新の案内で金額を確認してください。
免許証送付用の封筒が手元にない場合は、切手だけ送ればよいとされています。その場合は、切手を申請書にクリップで留めるか、小さな袋に入れて同封します。
なお、窓口に持参する場合でも切手は必要です。即日交付をしていないので、どの方法で申請しても郵送になるためです。
収入印紙でつまずかないために
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。収入印紙の扱いを間違えると、申請できなくなることがあります。
割印を押したら申請できない
収入印紙を貼ったあとに、いわゆる消印や割印を押してしまう方がいます。契約書に印紙を貼るときの習慣ですね。
免許申請では、これをやってはいけません。東京労働局のよくある質問には、割印をしてしまった場合は申請できないとはっきり書かれています。
ただ、救済方法も案内されています。誤って割印をしてしまった場合は、「誤って割印をしたものであり、不正使用ではありません。」と記載し、割印に使った印鑑で押印すればよいとされています。
知らずにそのまま送ってしまうと、書類が戻ってきて時間を無駄にします。貼るだけにしておいてください。
多く貼ってしまった場合
1,500円のところを1,600円貼ってしまった、というケースについても案内があります。
この場合、申請自体はできます。ただし超過分は返金されないので、印紙を貼った付近の余白に「超過した収入印紙100円については返金等請求いたしません。」と書いて、申請者名で署名する必要があります。
逆に言えば、貼り直しをしなくても進められるわけです。慌てて剥がそうとするより、この方法を取ったほうが安全です。
収入証紙と登記印紙は使えない
名前が似ていて間違いやすいのですが、使えるのは日本政府が発行する収入印紙だけです。
都道府県が発行する収入証紙や、登記印紙は使えません。郵便局や法務局の窓口で買うときに、間違えないよう気をつけてください。
申請書の記入で気をつけること
修正液は使わない
書き損じたときの直し方も決まっています。
申請書の枠内の文字を間違えた場合は、枠の上下をややはみ出すように、文字の上に縦の一本線を引きます。そして正しい文字を、枠の中の右上すみに書きます。枠に入らなければ、上下の余白に書いてもよいとされています。
修正液や修正テープを使ってはいけません。
労働局長名は「東京」と書く
これは間違えやすいところです。申請書には労働局長名を書く欄がありますが、自分の住んでいる都道府県名ではありません。
免許証発行センターに提出する場合は、「東京」労働局長と書きます。東京労働局のよくある質問にそう案内されています。
申請年月日は、郵便局に出す日
申請年月日の欄には、郵便局で簡易書留の発送を依頼する日を書きます。書類を書いた日ではありません。
書類を用意してから郵便局に行くまでに日をまたぐ場合は、注意してください。
封筒と、折り方
郵送は簡易書留で行います。普通郵便だと紛失や誤送のおそれがあるため、簡易書留を使うよう案内されています。
免許証発行センター宛ての指定封筒(定形外)を使うのが望ましいのですが、任意の封筒でも代用できます。
定型サイズの封筒に入れるため申請書を折る場合は、折る場所が決まっています。様式の左右の余白にある▲印のところを谷に折ってください。適当に折ると写真が折れ曲がって、再提出になることがあります。
会社でまとめて複数人分を送る場合は、申請者ごとに指定封筒に分けて入れ、それをさらに大きな封筒に入れて送ります。書類が混ざらないようにするためです。
申請に期限はあるのか
気になるところだと思います。
結論としては、衛生管理者の場合、明確な期限はありません。合格通知書に有効期限の記載もありません。
ただし東京労働局は、添付書類などを紛失すると交付ができなくなる場合があるので、できるだけ速やかに手続きを取るようにと案内しています。
合格通知書をなくしてしまった場合は、受験した安全衛生技術センターに再交付を申請することになります。手間が増えるので、届いたら大事に保管して、早めに手続きするのが無難です。
ちなみに、免許試験でも種類によっては期限があります。ボイラー溶接士は合格日から2年、クレーン・デリック運転士などは学科合格から1年以内に実技教習を修了する必要があります。衛生管理者はこれに当たりません。
18歳未満は交付されない
あまり該当する方はいないと思いますが、念のため。満18歳に達していない方には免許証が交付されません。18歳になってから申請することになります。
衛生管理者は受験資格に実務経験が必要なので、実際にはほとんど問題にならないはずです。
免許証が届くまで
申請してから免許証が届くまでには、一定の時間がかかります。
期間は時期によって変わるので、東京労働局のサイトで現在の処理状況が公表されています。会社で選任される予定がある場合は、そこを見て逆算してください。
窓口での即日交付はない
急いでいる場合、窓口に持ち込めば早いのではと考えたくなりますが、それはできません。
免許証の交付は免許証発行センターからの郵送のみです。そして免許証発行センターには受付窓口自体がありません。持ち込んでも早くはならないので、素直に郵送しましょう。
会社に送ってもらうこともできる
これは知っておくと便利です。免許証を勤務先に送ってもらうことができます。
申請書の「送付先希望」欄に「1」を記入し、「送付先」欄に会社の住所と、部署名のあとに「気付」を付けて書きます。東京労働局の案内には記入例も載っています。
ただし、宛名には必ず申請者本人の氏名が印字されます。会社で個人名の郵便を受け取れる体制があるかは、先に確認しておいてください。
それから、会社で複数人が合格した場合でも、免許証を一括で送ってもらうことはできません。免許は個人の申請に基づいて交付されるので、申請者ごとに返信用の封筒と切手が必要です。
免許証が届かないとき
まず、東京労働局のサイトで現在の処理期間を確認します。その期間内なら待ちましょう。
簡易書留で送っていれば、郵便局の追跡サービスで到着したかどうかを確認できます。処理期間を超えても届かない場合は、お住まいの都道府県労働局に問い合わせることになります。
意外と知られていない免許証のしくみ
ここからは、手続きそのものとは少しずれますが、知っておくと役に立つ話です。
第一種を取ると、第二種は表示されない
第二種を持っている方が第一種に合格した場合、免許証には第一種だけが記載されます。持っていた第二種の情報は印字されません。
発行のミスではなく、そういう決まりです。上位の免許を取ると、下位の免許の情報は表示されない仕組みになっています。
第一種はすべての業種で使えるので、実務上の不利益はありません。
第一種を持っていると、第二種は新規で取れない
こちらも決まりです。第一種衛生管理者免許を持っている方が、あとから第二種を新規取得することはできません。すでに上位の免許を持っているためです。
そもそも取る必要もないのですが、念のため。第一種と第二種の関係については、違いをまとめた記事で詳しく書いています。
更新は不要
衛生管理者の免許に有効期間はありません。更新手続きも不要です。一度取れば、ずっと有効です。
労働安全衛生法に基づく免許で有効期間があるのは、特別ボイラー溶接士と普通ボイラー溶接士だけです。
ただし、法令は改正されます。免許は有効でも、知識は更新していく必要があるでしょう。
引っ越しても手続きはいらない
住所が変わっただけなら、免許証の書替は必要ありません。
新しい住所が記載された免許証がほしい場合は、所定の手続きと手数料で交付を受けられます。ただし必須ではありません。
なお本籍地については、制度改正により平成29年4月1日以降は免許証に記載されなくなりました。本籍が変わっても書替は不要です。
よくある質問
申請中でも「衛生管理者になった」と言えますか
免許証が交付されて、はじめて免許を持っていることになります。会社が衛生管理者として選任するのも、免許証の交付を受けてからです。
合格した時点で会社に報告するのは構いませんが、選任の手続きは免許証が届いてからになります。急いでいる場合は、その旨を会社に伝えておくといいでしょう。
合格通知書のあとに結婚して名字が変わりました
住民票の写しなど、氏名の変更前と変更後の両方が分かる書類を添付して申請します。市区町村から発行された原本が必要です。
第二種に合格したあと、続けて第一種にも合格しました
この場合、申請は2件分必要です。免許の種類ごとに申請書を作り、それぞれに写真と収入印紙を貼り、必要書類を添えます。
ただし免許証は1枚に統合されるので、返信用の切手は1件分で足りるとされています。
免許証を紛失したらどうなりますか
再交付の申請ができます。手続きは新規の申請とは少し違うので、厚生労働省の手引きで再交付の項目を確認してください。
再交付でも、原本確認のために労働基準監督署や労働局に出向く必要はないとされています。郵送で完結します。
まとめ
整理します。
衛生管理者は、試験に合格しただけでは免許証が交付されません。自分で免許申請をする必要があります。申請先は住所地の労働局ではなく、東京労働局免許証発行センターです。全国どこに住んでいても同じです。
用意するのは、免許申請書、合格通知書、収入印紙1,500円、写真1枚、本人確認証明書、そして免許証を送ってもらう切手です。
つまずきやすいのは収入印紙です。割印を押すと申請できなくなります。貼るだけにしてください。使えるのは日本政府発行の収入印紙だけで、収入証紙や登記印紙は使えません。
申請書を書き損じたときは、修正液を使わず、文字の上に縦線を引いて右上すみに書き直します。労働局長名の欄は「東京」と書きます。
期限はありませんが、書類をなくすと面倒になります。合格通知書が届いたら、早めに手続きを済ませてしまいましょう。
受験から免許取得までの流れ全体は、完全ガイドで確認できます。
参考・出典
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「合格後の手続き」
- 東京労働局「労働安全衛生法に基づく免許 よくある質問」
- 東京労働局「労働安全衛生法に基づく免許」(処理状況の確認)
- 厚生労働省「免許申請書」および「免許試験合格者のための免許申請書手続の手引き」
この記事は2026年8月時点の公表情報をもとに書いています。手数料、郵便料金、様式、提出先の住所などは変更されることがあります。申請の前には必ず厚生労働省の手引きと東京労働局の案内で最新情報をご確認ください。個別の事情がある場合は、労働局または労働基準監督署にお問い合わせください。
