衛生管理者試験は何を勉強する?公表問題44問を分析して分かったこと

衛生管理者の試験で何を勉強するのか。調べると、どのサイトにも似たような表が出てきます。労働衛生はこういう分野、関係法令はこういう分野、という一覧です。

ただ、あの表がどこから来ているのか気になって調べてみました。

結論から言うと、試験を実施している協会は、詳しい出題範囲を公表していません。公表しているのは科目名と、問題数、配点、試験時間だけです。各サイトが載せている分野の一覧は、過去の問題から推定したものということになります。

それなら、実物を見たほうが早い。そう思って、協会が公開している公表問題を1回分、最後まで確認しました。

この記事では、その中身をもとに次のことを書きます。

  • 本試験44問が、問番号でどう並んでいるか
  • 有害業務の問題だけ、1問の配点が低いこと
  • 実際にどんなことが問われているか
  • 出題形式に大きな偏りがあること(44問中33問が同じ聞き方)
  • 問題用紙に書かれている、当日のルール

この記事は、安全衛生技術試験協会が公開している第一種衛生管理者免許試験の公表問題を確認して書いています(2026年8月時点)。分析は1回分の問題に基づくもので、回によって傾向は変わります。公表問題は年2回更新され、その後に施行された法令には対応していない点にもご注意ください。

公表されているのは、科目名と配点だけ

協会が公表している試験科目は、次の3つです。

  • 労働衛生
  • 関係法令
  • 労働生理

第一種では、このうち労働衛生と関係法令が「有害業務に係るもの」と「それ以外」に分かれます。だから範囲としては5つになります。

ここまでは公表されています。ただ、「労働衛生では具体的にこういうテーマを出します」という詳細な一覧は出ていません。

その代わり、協会は過去の試験問題を公開しています。つまり出題範囲を知りたければ、実物を見てくださいという設計になっているわけです。

本試験44問の並び方

実際の問題用紙を見ると、科目ごとにきれいに区切られています。

問番号科目・範囲問題数配点
問1〜問10関係法令(有害業務に係るもの)10問80点
問11〜問20労働衛生(有害業務に係るもの)10問80点
問21〜問27関係法令(有害業務に係るもの以外)7問70点
問28〜問34労働衛生(有害業務に係るもの以外)7問70点
問35〜問44労働生理10問100点
合計44問400点

前半20問が有害業務、後半24問がそれ以外、という構成です。

この並びには意味があります。第二種を持っている方が受ける特例第一種は、問1から問20までだけを解答します。つまり前半20問が、第一種と第二種の差にあたる部分です。

有害業務の問題だけ、1問の配点が低い

ここは気づきにくいところです。配点を問題数で割ってみると、科目によって1問の重みが違います。

範囲1問あたりの配点
関係法令(有害業務)8点
労働衛生(有害業務)8点
関係法令(有害業務以外)10点
労働衛生(有害業務以外)10点
労働生理10点

有害業務の2つの範囲だけが1問8点で、残りは1問10点です。

これを全体で見るとこうなります。有害業務の20問は、問題数では44問中の45.5%を占めます。ところが配点では160点で、400点中の40%です。

つまり問題数の割に、点数としての取り分が少ない。有害業務の範囲は化学物質の名前や作業主任者の種類など暗記量が多いのに、1問の価値は低いわけです。

一方、労働生理は10問で100点。全体の25%を占める最大の範囲で、しかも扱うのは人体のしくみだけなので範囲が限定的です。

時間が限られているなら、労働生理と有害業務以外の範囲を先に固めるほうが効率はいいと思います。ただし合格には範囲ごとに40%以上が必要なので、有害業務を捨てることはできません。この足切りの仕組みは第一種と第二種の違いの記事で詳しく書いています。

実際に何が問われているのか

公表問題1回分から、どんなテーマが出ていたかを科目ごとに挙げます。

関係法令(有害業務)問1〜問10

衛生管理体制の問題から始まっていました。労働者数と有害業務の従事人数が示されて、衛生管理者を何人選任すべきか、衛生工学衛生管理者が必要か、専任が必要かを判断させる形式です。

そのほかは、定期自主検査の頻度、厚生労働大臣の定める規格が必要な機械等、免許の種類、衛生基準、特定化学物質の記録の報告、有害物の表示、酸素欠乏症等防止規則、作業環境測定士が必要な測定、時間外労働の制限といった内容でした。

労働衛生(有害業務)問11〜問20

化学物質のリスクアセスメント、化学物質の常温での状態(ガスか蒸気か)、有機溶剤、電離放射線、金属による中毒、作業環境の有害要因、化学物質による健康障害、作業環境測定と評価、保護具、特殊健康診断。

物質名と症状の組み合わせを覚えていないと解けない問題が目立ちます。ここが暗記量の多い部分です。

関係法令(有害業務以外)問21〜問27

総括安全衛生管理者の選任義務がある業種、衛生管理者の職務、衛生委員会、ストレスチェックの面接指導、事業場の衛生基準、妊産婦の保護、年次有給休暇。

ここで意外に思う方がいるかもしれません。労働基準法からも出題されます。妊産婦の就業制限や年次有給休暇の日数など、労働安全衛生法だけを勉強していると落とす部分です。

ちなみに衛生管理者の職務や衛生委員会の問題は、そのまま実務の話でもあります。衛生管理者の仕事内容をまとめた記事の内容と重なります。

労働衛生(有害業務以外)問28〜問34

情報機器作業のガイドライン、労働衛生統計、健康保持増進の指針、脳血管疾患と虚血性心疾患、受動喫煙防止のガイドライン、BMIの計算、食中毒。

BMIについては、身長と体重が示されて最も近い値を選ぶ計算問題でした。44問のうち計算が必要なのはこの1問だけです。数式が苦手でも、ここだけ押さえれば対応できます。

労働生理 問35〜問44

血液、心臓と血液循環、呼吸、消化酵素、体温調節、腎臓と泌尿器系、筋肉、感覚器、ストレス、ホルモンと内分泌器官。

見てのとおり、人体のしくみが順番に問われています。1問ずつテーマが違うので、逆に言えば出るテーマが固定されているとも言えます。範囲が読みやすいのがこの科目の特徴です。

出題形式に、大きな偏りがある

ここが、実物を確認していちばん驚いた点です。

44問の聞き方を分類してみました。

聞き方問題数割合
誤っているもの・適切でないものを選ぶ33問75.0%
正しいものを選ぶ6問13.6%
組合せを選ぶ2問4.5%
条件に当てはまるものを選ぶ2問4.5%
計算して選ぶ1問2.3%

4問のうち3問が、「誤っているものはどれか」という聞き方です。「定められていないものはどれか」「違反しているものはどれか」「適切でないものはどれか」も同じ型に入ります。

これが何を意味するか。5つの選択肢のうち、4つは正しい記述だということです。

正解するには、間違っている1つを見つける必要があります。全部を完璧に覚えていなくても、「この数字は違うはず」「この組み合わせはおかしい」と気づければ答えられます。

逆に言えば、正しい知識を漠然と覚えているだけでは足りません。どこが書き換えられているかを見抜く訓練が効きます。数字の入れ替え、用語の入れ替え、「以上」と「超える」の違いといったパターンです。

公表問題を解くときも、正解を選んで終わりにせず、なぜ他の4つは正しいのかを確認していくと力がつきやすいと思います。1問から5つの知識が手に入る計算になります。

なお、この割合は公表問題1回分を数えたものです。回によって変わる可能性はありますが、「誤っているものを選ぶ」形式が中心であることは変わらないと思います。

問題用紙に書かれている当日のルール

公表問題には、実際の試験の注意事項もそのまま載っています。当日になって知るより、先に読んでおいたほうがいい内容です。

項目内容
解答方式五肢択一式。正答は1問につき1つだけ
筆記具HBまたはBの鉛筆(シャープペンシル可)。ボールペン、サインペンは使えない
解答用紙機械で採点するため、折ったり汚したりしない
計算・メモ解答用紙ではなく、問題用紙の余白を使う
退室試験開始後1時間以内は退室できない
途中退室着席のまま無言で手を上げる。退室後は再入室できない
持ち帰り問題用紙は持ち帰れない。受験票は持ち帰る

気をつけたいのは筆記具です。ボールペンやサインペンでは受験できません。マークシートなので当然といえば当然ですが、鉛筆を持っていない方は前日までに用意しておいてください。

それから、問題用紙は持ち帰れません。

なお、受験票の余白には何も記入しないよう協会から案内されています。自己採点のためにメモを取りたい場合は、別の紙を用意してください。

受験する区分によって、解く問題が変わる

問題用紙には、区分ごとの指示も書かれています。

区分解答する問題試験時間
第一種(通常)問1〜問443時間
特例による受験者問1〜問202時間
労働生理の免除者問1〜問342時間15分

第二種の免許を持っていて第一種を受ける方は、前半20問だけを解きます。有害業務の範囲だけということですね。

よくある質問

どの科目から勉強すればいいですか

決まった順番はありませんが、労働生理から入る方が多いようです。人体のしくみなので、法令より取っつきやすく、出るテーマも限られているためだと思います。

配点でも労働生理は10問100点で最大です。ここを固めると精神的にも楽になります。

労働基準法も勉強しないといけませんか

必要です。公表問題でも、妊産婦の就業制限や年次有給休暇が出ていました。

市販のテキストなら当然カバーされていますが、「労働安全衛生法の試験」と思い込んでいると抜けやすい部分です。

計算問題は出ますか

確認した回では、BMIを求める問題が1問だけありました。身長と体重から計算して、最も近い値を選ぶ形式です。

ほかに労働衛生統計で率の考え方を問う問題もありますが、複雑な計算は求められていません。

公表問題だけで合格できますか

公表問題は出題の形式や傾向をつかむのに役立ちます。ただし、公表されている回数には限りがあり、しかもその後の法令改正には対応していません。

関係法令の内容は最新のテキストで確認したほうが安全です。この点は難易度と勉強時間の記事でも書いています。

まとめ

整理します。

協会が公表しているのは科目名と配点だけで、詳しい出題範囲は出ていません。その代わり過去の問題が公開されているので、実物を見るのがいちばん確実です。

第一種は44問で、前半20問が有害業務、後半24問がそれ以外という構成です。有害業務の問題は1問8点で、他より低く設定されています。問題数の割に配点が少ない範囲だということです。

そして44問のうち33問が「誤っているものを選べ」という形式でした。選択肢5つのうち4つは正しい記述なので、間違いを見抜く訓練が効きます。過去問を解くときは、なぜ他の選択肢が正しいのかまで確認すると効率が上がります。

まずは公表問題を1回分、無料でダウンロードして眺めてみてください。テキストを買う前に、自分に合う勉強法を判断する材料になります。独学と講座の選び方の記事もあわせてどうぞ。

受験までの準備を順番に確認したい方は、完全ガイドをどうぞ。

参考・出典

この記事の分析は、協会が公開している第一種衛生管理者免許試験の公表問題1回分に基づくものです(2026年8月時点で確認)。出題の傾向は回によって変わります。公表問題は年2回更新され、掲載後に施行された法令には対応していないため、関係法令の学習には最新の情報をあわせてご確認ください。

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